oto salon 音の振動マッサージで心身のバランスを整える | 十津川村 平谷地域交流センター いこら

サウンドヒーリングとは

私たちの体の多くは「水」である

私たち人間の体は、子どもから大人まで約60~70%が水分でできています。
胎児においてはさらに多い水分量を持ち、老人の場合は体の半分ほどが水分です。

さらに血液は約90%、脳は約80%、皮膚や筋肉は約70%、脂肪は約10~30%、骨は約10%が水分であり、歯のエナメル質でさえ約4%が水分です。

また体内の水分は、大きく「細胞内液」と「細胞外液」に分けられ、細胞内に存在する「細胞内液」は、体内水分の約3分の2を占めています。その「細胞内液」と「細胞外液」が細胞膜を挟んで移動し、細胞は「細胞外液」から酸素や栄養素を受け取り、細胞が生きてゆくためのエネルギーを産生しつつ、代謝された老廃物を体外に排出することで活動しています。

音は空気中を伝播し、水や骨を素早く伝播する、そして音と体の媒介物は、空気や水や骨である

音は空気中を秒速340m、水の中を秒速1,500m、骨の中を秒速5,600mもの速さで伝わります。

私たちの体は骨で構成され、体内には約60~70%の水分が含まれおり、皮膚の膜で覆われています。
実は私たちの体そのものが、音が伝わりやすい媒体であり、私たちの体は、音の影響を非常に受けやすい性質を持つといえるのです。

音は縦波の振動であり、空気中を伝播して皮膚へ伝わり、音の波が体の水分と共鳴し、物質の中を貫通していくことで、私たちの体そのものを振動させる力があります。

私たちは癒しの音を記憶している

胎児はお母さんのお腹の羊水という水の中で育ちます。
胎児はだいたい4ヶ月半くらいから耳が機能し始めますが、その頃からお母さんのお腹のなかで、羊水の水の音や、お母さんの心臓の音を聴いて育ちます。

母親の胎内は、生命がまだ海のなかにいた時代を再現すると言われますが、羊水は海水そのものであり、まさに「母なる海」でもあります。(例:細胞外液は、生命が発生した原始の海のなごりともいえるもので、0.9%食塩水に近い組成をしています。※生理食塩水は0.9%の濃度と決められています)

胎児は、地球の30億年の生命の歴史を、わずか十月十日ですべて体験します。お母さんの心音を聴きながら、生物の過去から現在までの進化の過程を体験し、最終的に人間という形に形成されていくのです。

お腹のなかの胎児は、24時間、絶えずお母さんの心臓の音が70ビート前後の安定したリズムで「トン、トン」と聴こえています。その上に羊水の音、食物が消化される音、お腹の外から聞こえてくる音など、胎児は音の世界に包まれて成長しているといってもよいでしょう。

お腹のなかは胎児にとって、もっとも安心できる場所です。なかでももっともよく聴こえる母親の心音は、安心できる環境の音として潜在意識のメモリーのなかに蓄えられていきます。その心地よい環境のなかで、受胎から産まれるまで、胎児は心音に包まれたときを過ごすのです。心音が安心する音であるのは、すべての胎児に共通しているのです。(コーネル大学小児心理学博士リー・ソルク氏の研究)

出生後はその安定したリズムの心音が聴こえなくなり、不安定な音の世界に放り出されていくことで、常にストレスを抱えやすい環境で生きていくことになります。しかし潜在意識のメモリーに蓄えられた安心の音の記憶は、大人になってからも消えることはありません。ゆったりと安定した音を繰り返し聴くことによって、大人も安心し、やすらぎを感じるのです。

サウンドヒーリングによって、そのメモリーに蓄えられた音の記憶と共鳴する音の振動(体感音響システムによる振動)を体に響かせてあげることで、物理的なマッサージ作用とともに、やすらぎのリラクゼーションへと導かれていきます。

日々の生活の中に「安心の記憶の音」や「体が喜ぶ音」を取り入れることで、心も体も癒されるというわけです。

有名な童話のなかにあるサウンドヒーリングのエピソード

サウンドヒーリングの様子をそのまま表しているかのような、宮沢賢治の童話「セロ弾きのゴーシュ」をご紹介します。

 町の楽団でセロ(チェロ)を弾くゴーシュは、演奏が下手でいつも楽長に怒られてばかりいます。夜な夜なひとりでセロの練習をしているゴーシュのもとに、毎晩のようにカッコウや狸、野ねずみといった動物たちが訪れ、あれこれ理由を付けてはセロの演奏を依頼します。どうやらゴーシュのセロをそばで聴くと、元気になったり病気が治ったりするらしいのです。そんな経験を経た後の音楽会本番で、ゴーシュのセロは大絶賛を浴びました。

 動物たちは、ゴーシュのセロの演奏を聴くことで元気を取り戻し、病気が治っていきます。ごうごうと鳴らすセロの音を床下で聴くと、病気が治るという噂が動物たちの間で広まり、毎晩訪れてきたのです。

 野ねずみにいたっては、セロの穴のなかに入って演奏を聴いています。野ねずみはこう言います。
「セロの音を床下で聴くと体中の血の巡りがよくなって、いい気持ちになり、すぐに治る方もあれば、家に帰ってから治る方もいます」と。

 最初は、病気など治しているつもりはない、私は医者などできないと否定していたゴーシュでしたが、こう問い直します。

 「おれのセロの音が響くと、それがあんまの代わりになって病気が治るのか」と。

 セロの穴に入り、セロの底で演奏を聴いた後、野ねずみは、目をつぶってぶるぶる震え、しばらくすると元気に起き上がって走り出します。すっかり元気になっていたのです。

 そしてゴーシュに感謝して帰っていきました。

宮沢賢治 “セロ弾きのゴーシュ”

「セロ弾きのゴーシュ」は、実際にチェロ弾きだった宮沢賢治が想像でつくった童話かもしれませんが、おそらく体験的に、チェロが体にいい影響を及ぼすことを知っていたのかもしれません。